タスカルコラム

寒天

まだまだ寒さが厳しい季節ですが、今回は「寒」のつくこの食材をピックアップ!
涼をとるだけではない、寒天を使った料理や知られざる活躍の場をご紹介します。

寒天

偶然の産物!寒天の成り立ち

江戸時代前期のとある冬のこと、京都の伏見にあった旅館の主人が戸外へところてんを捨てたところ、何日か経って乾物状になったものを見つけます。
試しに溶かしてみたところ、従来のところてんよりも美しく、海藻臭さもなくなっていました。
これをお寺で試食してもらったところ、精進料理の食材として活用できると奨励され、その際に寒天と命名されました。
つまり、寒天とは偶然できた「乾燥ところてん」だったのです。
この話自体は複数の書物に記載されているようですが、年号までははっきりしていないそうです。
現在、京都市伏見区には「寒天発祥之地 伏見区御駕籠町(おかごちょう)」と記された石碑が建てられています。

寒天の製法

寒天の原料には紅藻類と呼ばれるテングサやオゴノリなどの海藻が使われています。
従来は川の水に浸して塩分と水分を除いたテングサやオゴノリを煮詰めてところてんを作り、これを2晩ほどかけて凍結させていました。
その後、日光で溶かし、水分を抜き、数日かけて乾燥させることで完成します。そのため、昔は12月から2月の厳寒期にしか作ることができませんでした。
現在では工業的に凍結乾燥や加圧を行い、均質な粉末の寒天を作ることが可能となっています。

寒天を使った料理

〇ところてん

関東では酢醤油、関西では黒蜜をかけて食べることが多いようですが、間の名古屋では三杯酢をかけるそうです。
この事実に「甘いと酸っぱいの丁度間とってる!」と小さく感動しました。
また、東北地方は生姜醤油や味噌、四国地方はだし汁やめんつゆなど様々な味で楽しまれています。
さらに名古屋をはじめ、日本各地にはところてんを箸1本で食べる風習があるそうです。
箸でところてんを切ってしまわないようにという理由や、古くなって切れやすくなったところてんを見分けるためという説や、ところてんはお菓子扱いのため楊枝を使うような感覚で箸1本を使うなど、所説あるそうです。
私は箸1本では上手に口までにたどり着けない気がするので、箸2本で丁重に頂きたいです。

〇寒天ゼリー

みつ豆や牛乳寒天など涼しげで少し懐かしいスイーツとしても大活躍の寒天ゼリー。果汁で作ったカラフルなものも楽しいですよね。
みつ豆は浅草発祥、みつ豆にあんこが乗ったあんみつは銀座が発祥です。

〇羊羹

羊羹は糖度が高いため保存性が高く、非常食・保存食としても販売されているものもあります。
また、少量でもカロリーが高く、体内ですぐにエネルギーに変換されることから、スポーツの補給食としても注目されています。

〇杏仁豆腐

本来は、喘息・乾性咳嗽の治療薬であるアンズ類の種の中身「杏仁(きょうにん)」を食べやすくした薬膳料理だったそうです。
日本ではひし形に切った杏仁豆腐を果物等とシロップに浮かべたフルーツポンチに近いものが多かったのですが、2000年代以降は本格的な中華菓子の普及に伴って、プリン状のものも多く見られるようになりました。

〇琥珀糖

溶かした寒天に砂糖や水飴などを加えて固めた和菓子で、外はシャリっと、中は寒天ゼリーのような柔らかさが残っています。
見た目の美しさから、SNS映えするのはもちろん、手土産としても注目されています。

琥珀糖

多方面で活躍する寒天

美味しいだけではない寒天の活躍ぶり、ご存知ですか?
寒天に含まれる食物繊維(アガロースやアガロペクチン)は健康維持や科学の発展にも一役買っている「スゴいやつ」だったのです!

ダイエット

寒天に含まれるアガロースやアガロペクチンは体内ではほとんど消化されないため、便秘の解消やダイエットにも有効です。
2005年ごろには寒天ダイエットが流行し、寒天がスーパーから消えるという現象が起きました。

介護食

のどごしの良い食感が介護食に適している上に、耐熱性に優れていので、温めても形状が維持されやすい特徴があります。

歯科医療

歯が欠けたり虫歯を治療してもらう際、型を取りますよね。この時、型取りに用いる材料にも寒天が含まれています。

化粧品

寒天は刺激性やアレルギー性がほとんどなく、日焼け止めや化粧水、口紅、ファンデーション、洗顔料などに使われています。
また保湿効果を高めつつも、べたつかずにサラッとした塗り心地になるそうです。

培地

植物の組織培養や菌の増殖などに使用するため、シャーレに栄養分を含む寒天培地が用いられます。

核酸(DNAやRNA)を使った実験

ここ数年でぐんと知名度が上がった「PCR」。この反応を確かめる実験にも当初はアガロースゲルが必要不可欠でした。
今では機器で分析することも可能ですが、まだまだ現役で使用されている欠かせないアイテムなのです。

コラム担当者(杉村)のオススメ商品

  1. 海藻の天草を原料とした食物繊維が豊富な
    食品です。(無漂白)

  1. 合成着色料不使用の三色寒天です。

  1. クレームブリュレがお湯と牛乳で混ぜ
    るだけで簡単に作れます。

  1. グラデーションの色合いが美しい
    フリーカット水菓子です。

今回は寒天を特集いたしました。
寒天は懐かしさを感じるスイーツ素材というイメージがありますが、味や香りを邪魔しないという特長から、料理や介護、医療や科学の分野でも活躍する陰の立役者でもありました。
最近ではご飯を炊くときに多めの水と粉寒天を加えてもっちり食感にしたり、カレーやシチューに寒天を入れることで洗い物を楽にしたりといった活用方法も注目されているようですよ。
また、今回「寒天」を調べてみて島根の「花あわ雪」という寒天菓子が気になりました。近くに行った際にはぜひ食べてみたいです。

最後までご覧頂き、ありがとうございました。
引き続き、ちょっと役立つ情報をお伝えしていきます。

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